淡色の空

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十月三十一日

こんばんわ、淡色です。
今日はハロウィンですね!
まぁつい数時間ほど前、某所で見て初めて気付いたんですが(爆

この時期ネタに便乗しないでどうする…!と一念発起し、
二時間(遅筆の私の新記録)の突貫工事SSを投下いたします。

かけた時間が余りにもお粗末&「悪戯って言ったら妖精だろjk」なるお粗末なプロットなので、
出来もお粗末の可能性がありますが、
それでも「おk!!」と言って下さる菩薩の如き方は、以下よりお進みくださいませ!

あと、何か妙に糖分が多いかもしれませんが…(汗

(霖之助、ルナチャイルド)



「それじゃあね、霖之助さん」
「じゃあな、香霖。次は紅魔館だぜ」
「ああ、気をつけて行くんだよ。レミリアと咲夜によろしく言っておいてくれ」
「分かったぜ」

夜も遅く、突然香霖堂を急襲し、菓子類を半ば強制的にねだった霊夢と魔理沙は、それがさもいつも通りである、と言わんばかりの自然な所作で、また香霖堂を後にする。
――と言うと、実に暴虐非道な振る舞いに聞こえるが、無論事実は違う。
それは霊夢と魔理沙が、それぞれ狼人間と魔女に仮装していることからも伺える。
つまり、今日はハロウィンなのだ。
『トリック・オア・トリート』という言葉と共に家々を回り、菓子を貰い歩くというハロウィンの日は、死者の霊が家族の家を訪ねる日であるとも言われている。
つまり日本のお盆のようなもので、カボチャの中身をくりぬいて作るジャック・オー・ランタンはまさしく日本で言う迎え火のようなものだろう。
断じて『仮装すればお菓子を貰える日』ではないのだが、それを目の前の二人が理解しているのかは激しく謎である。
謎ではあるが、十分にハロウィンを愉しんでいる二人を目の前に言う台詞でもないだろう。
その件については、霖之助はとりあえず口を噤んでおき、二人を見送った。

「……ふぅ。とりあえず、今日はあの二人が最後になるか」

店内に戻り、いつもの定位置に腰を据えて、霖之助は呟く。
急に静かになった店内は、いつもと変わらないように見えるものの、やはり色や温度がいつもより低く感じられる。
と言うのも、先ほどまで様々な来客が、ハロウィンのためにこの香霖堂に訪れていたからだろう。
霖之助のすぐ目の前では、例のジャックランタンがちろちろ揺れる蝋燭の火を、目から口から吐き出している。
かさり、と霖之助はカウンターの下から紙を取り出し、その揺れる灯りに照らしながら目を通した。

「……霊夢と魔理沙、と。あの二人がこんなに遅くに来たのは少々予想外だったが……」

紙には、見慣れた人物たちの名が羅列されている。
霖之助があらかじめ、ハロウィンで香霖堂を訪れそうな面々の名前をリストアップしておいたものだ。

「チルノ、大妖精、ルーミアに、文、にとり、アリス。それに鈴仙とてゐ、妖夢に、霊夢と魔理沙。……まぁ、こんなものか」

正直なところ、アリスと妖夢、そして鈴仙の来訪は予想外だったのだが、ジャック・オー・ランタンを作る際にくりぬいた中身で作ったパンプキンパイは、その三人へ配ってもまだ余りがあった。
もうこれ以上の来訪はないとは思うが、まだ二人分までは対応出来る。

「……レミリアとフランドールは、迎える側だから来ないだろう。星君とナズーリンも恐らくは同様、慧音と妹紅もだな」

一応、紙にリストアップしている面々の現状を確認する。
一番来る可能性が高いのは、少々自分の持ち場を抜け出しても然程問題なさそうな星とナズーリンだが、来ても二人分までなら対応出来るため、悪戯される心配はない。
それ以上のメンツが来られると対応に困るが、その時は適当に茶請けの菓子でも渡せば問題は――。

「……しまった。そう言えばこの前、霊夢に全部食べられてしまったんだった」

万事対応可能、と思っていた霖之助の計画に、唯一の心配事が差し込む。
つい二日ほど前、いつものように茶を飲みにやってきた霊夢に、残っていた茶菓子を全て食べられてしまっていたことを失念していた。
ハロウィンの菓子を作るのに夢中で忘れてしまっていたのだが、さてどうしたものか。

「……とは言え、今から人里に買いに行くなどという選択肢は無いも同然だな。まぁ、この組み合わせがかぶって来訪する事は無いだろうし、そう大きな問題ではないか」

考えられるのも、どれも二人組である。
つまり、どれか一組だけの来訪ならば問題がなく、しかもその一組だけの来訪自体も確率は低い。
考えるだけ無駄、とは言わないが、杞憂であることに疑いを持つことはない。
そもそも、悪いことと言うのは不思議なもので、考えれば考えるほど現実に起きてしまう可能性が高くなるものだ。
余計な事を考えて自分で招き入れてしまうくらいなら、いっそ考えずに悠然と構えていた方がいいだろう。
そう、霖之助は自身で結論付けた。

「……そうだな。念のため、日付が変わるまでは待っているか」

日付が跨ぐまで、あと僅か四半刻ほどである。
本でも読んで待っているか、と、霖之助はすぐ近くにあった読みかけの本へと手を伸ばす。
――その時、であった。

「とりっくおあとりーと!」
「とりーとー! お菓子くれないと悪戯しますよ!」
「……トリート」
「――」

ばたん!
まるでカウベルに恨みがあるのか、と聞きたくなるくらいの勢いで、店内に乱入してきた三つの影に、さしもの霖之助も一瞬驚き、動きが止まる。
――乱入者は、顔に縫合跡のようなペイントを施し、黒衣を纏ったのが一人。
そして顔と手に包帯を巻きつけ、ミイラ男の仮装をしているのが一人。
最後に、吸血鬼のようなマントを羽織り、青白く顔を染めているのが一人の、計三人。
どれも霖之助が見知った顔である、サニーミルク、スターサファイア、ルナチャイルドの三妖精だ。
それは、別にいい。別にいいのだが。

――しまった。この三妖精を忘れていた……。

先ほどまで考えていた『悪い事』は、現実になった。
既に確認したように、残っている菓子は二つしかない。予備に使おうと思っていた茶菓子も尽きている。
つまり、この三人のうち、一人にはどうしても菓子を渡せない計算になってしまう。
それに加えて最もタイミングの悪い事が、渡せない相手が『妖精』であるということだ。
悪戯させたら右に出るものが無い種族である。
タイミングが悪いなんてものではない。
最悪の上に『極』や『激』をつけても足りないくらい、最悪である。
どうすれば、この最悪の状況を上手く切り抜けられるのか――。

「ねぇ、店主さん! ちょっと聞いてる?」
「お菓子下さいー。くれないと悪戯しますよー?」
「悪戯するよ?」
「あ、ああ」

返事の無い霖之助に痺れを切らしたのか、三妖精はそれぞれカウンター前まで詰め寄ると、ぎゃいぎゃいと騒ぎ立てる。
――とりあえず、状況的には非常にまずい。
対策を考えようにも、与えられた時間が余りにも少なすぎる。
少なすぎるが、霖之助もこの程度で何も策が浮かばない程、頭の回転は鈍くない。
霖之助への被害が無傷で済む案は一つ、浮かんでいる。
その案――適当に話を逸らして、ハロウィンの時間切れを狙う方法をとることにした。
幸い、日付が変わるまで後十五分程度だ。
もし上手く軌道に乗せることが出来れば、その程度の時間ならば突破は難しくはない。

「……しかし、君たちもこんな遅くまでよくやるね。そう言えば、ハロウィンと言うのは――」
「む。店主の話は長いから、いい。それよりお菓子くれないの?」
「そうだそうだー」
「お菓子下さいー」
「……」

――しかし、まず軌道に乗せる段階のうちに、その目論見はルナチャイルドの一言であえなく失敗した。
どうやら何度か顔を合わせているうちに、霖之助の話は長いという事を覚えられてしまっていたようだ。
そして、三妖精の菓子をねだる勢いも増してしまい、菓子を渡さずに済ませるというのも、少々難しくなってしまった。
――その現状を鑑みるに、どうやら事前回避ではなく、事後の被害を最小限に食い止める方向に考えなければいけないのかもしれない。
と、すると。

「……分かった。お菓子はあげるよ」
「なんだ、あるんじゃんか」
「何で勿体ぶったんです?」
「……?」
「ほら、これだよ」

カウンターのすぐ傍に置いていた、パイを入れた容器を手に取る。
霖之助は三妖精の前まで行くと、そこに残っていたパイを二つ、配る。

「あ、ありがとう!」
「ありがとうございますー」

――そう、二つを、である。
当然、三人いるのだから、一人は余ってしまう。
その余った一人であるルナチャイルドは、菓子を貰ってはしゃぐ二人を見ながら、首を傾げた。

「……? 私のは……?」
「すまないね、ルナチャイルド。あれが最後の二つなんだ。本当は無くなってもあげる予備の菓子があったんだが、つい先日、巫女に食べられて切らしてしまってね」

菓子を渡さなかったルナチャイルドに、霖之助は率直に現状を説明する。
――ルナチャイルドにだけ渡さなかったのは、霖之助の考えがあってのことだ。
この三妖精の事はそれとなく知っているが、これまでに話した印象で最も相手にしやすそうなのが、このルナチャイルドなのだ。
つまり、渡せなかった事に対する悪戯は覚悟するが、その程度を上手く軽減させるために、一番こちらの話を理解出来そうな彼女を相手にする、ということだ。

「……ふーん。って事は、私は悪戯してもいい、ってこと?」
「僕としては非常に残念ながら、ね。まぁ、流石に行き過ぎたものは遠慮願うつもりでいるが」

じっとりとした目で見上げてくるルナチャイルドの視線に、霖之助は肩を竦める。
別に、貰えなかった事が不機嫌で、ルナチャイルドはそういう目をしているわけではない。
いつもこんな目なのだ。

「あー、ルナずるい」
「私もどうせだったら何か悪戯したいところですが……」
「君たち二人にはちゃんと菓子をあげただろう? それは無しだよ」
「ちぇー」
「残念ですね」

頬を膨らませながらも、霖之助の言葉に納得したのか、それ以上は口を出さず、二人はパイへと齧り付き始めた。
――とりあえず、他の二人の無力化には成功したようだ。
正直、菓子をあげたのを反故にして、ルナチャイルドの悪戯に二人が絡んでくるのが一番面倒だったのだが、それは防ぐことは出来た。
後は、目の前で対峙する月の光の妖精の行動を、上手く誘導すればいいだけだ。

「……」

ちろり、とルナチャイルドは一旦霖之助から視線を外し、脇にいる二人を見やった。
二人はパイを食べるのに夢中で、こちらには余り注意を払っていない。

「……ねぇ、店主。悪戯って、相手がびっくりしたり、困ったりするような事をすることを言うのよね?」
「ん? ……あぁ、まあ一応そういう事になるね」
「なら、ちょっとこれを見てもらえる?」
「ん?」

そう言ってルナチャイルドが取り出したのは、何やら小さな塊だった。
それをルナチャイルドは自分の手のひらに載せているのだが、その手のひらを霖之助に見やすいように上へ伸ばしているわけではない。
身長差があるせいで見えにくく、よく見ようと霖之助は少し屈む。

「何だい、これ――」
「――」

ルナチャイルドの手のひらに載せられた塊と入れ替えに、霖之助の視界がルナチャイルドの顔で埋まる。
それと共に、何か湿った柔らかい感触が、霖之助の唇に触れた。

「――」
「……ふん」

突然の出来事に呆然としたままの霖之助に、ルナチャイルドはくるりと背を向けた。
――まるで、朱に染まる自分の顔を見せないかのように。

「サニー、スター。もう済んだから行くわよ」
「む? むぐむぐ……」
「え? もういいの?」
「ええ」

ちょうどパイを食べ終わったサニーミルクとスターサファイアへと声をかける。
余りに早いルナチャイルドの行動に理解が及んでいないサニーミルクとスターサファイアだが、ルナチャイルドがすたすたと出入り口に向かっているのを見て、とりあえずその後を追いかけた。
ドアが開き、からん、と軽快なカウベルが鳴る。

「じゃあね、店主さん」
「お邪魔しましたー」

いつものように、サニーミルク、スターサファイアの順で妖精たちは店を出る。
最後のルナチャイルドは店の外へと出る直前に、僅かに霖之助を振り返る。
実に妖精らしい、してやったりと言わんばかりの笑みを、思ったよりも真っ赤な顔に貼り付けて。

「――びっくりしたり、困ったりした、でしょ?」



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コメントコメント


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甘ぁぁぁい!!
たった二時間でどんだけ甘い物を書いてるんですか貴方は!!
もうルナが可愛いすぎて色々とヤバいじゃないですか!!?

良い物を見せて頂きました。ご馳走さまでした!

唯 | URL | 2010/10/31 (Sun) 23:50 [編集]


何だこの思わず頬がにやける展開は(微笑)。
ルナチャと霖之助さんは妙にしっくり来るカップリングですねぇ。

三原王二郎 | URL | 2010/10/31 (Sun) 23:56 [編集]


初めてのチュー、君と超エキサイティング、ドラ○もんバト○ドームもでた

ルナが一歩リードか、他の二人に見られてたら修羅場にに・・・ふふふ、天狗が写真に収めてるかも

にとり文と幼夢の話はまだ見てないような
そしてナチュラルに忘れられてる椛とか、二回も主役張ってるのに(´;ω;`)ブワッ

猟奇王 | URL | 2010/11/02 (Tue) 02:06 [編集]


こんな悪戯ならしてほしいくらいですよ笑
サニーやスターにもお菓子を渡せなかったらどうなっていたことやら。

2日連続の投稿お疲れ様でした。

豆腐屋 | URL | 2010/11/02 (Tue) 22:06 [編集]


素晴らしき甘さです。
実に満足ですよ!
有難うございますっ!!
霖之助羨ましいです!

Thompson | URL | 2011/04/01 (Fri) 01:04 [編集]


 
 

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