淡色の空

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宵闇の憂鬱

ふと、『あ。ルー霖書きたい』という謎の意欲に後押しされ、ガリガリしてみました。
ネタと言うより電波に近いんですが、その割に非常にテンプレ。
オチとかがもはや定型文の域ですが、とりあえず私なりの解釈ということでどうか一つ……!
以前からルー霖は一つ書いてみたかったので、出来は後悔一点張りですが、
とりあえず個人的な欲求は満たされました(*´ω`)

さて、それではいつものように、以下より駄文が始まります~。

(霖之助、ルーミア)


闇は遥か古代から、根源的な恐怖の象徴として存在してきた。
それはひょっとすると、人間が人間となるよりも遥かに前だったのかもしれない。
人間は妖怪と異なり、主な活動時間は昼である。
故に、外敵の存在を視認しづらい闇が恐怖の対象となったのは容易に想像がつく。
恐怖とは即ち畏れである。
なので、闇を操る妖怪が強大な力を持っていたとしても、何らおかしいところは存在しない。
むしろそうである方が自然というものなのだが――。

「……」
「ん~? どうかした?」

霖之助の視線に気が付き、何事かあるらん、と小首を傾げたのはルーミアだった。
――所変わって、今霖之助がいるのは香霖堂である。
それも店舗ではなく、普段生活をしている奥の居間である。
食事をあまり必要とはしない霖之助だが、主に食事をしたり、ゆっくりと寛ぐ時にいる部屋がここだ。
そして現在、久しぶりに手に入った兎肉を使った鍋が、居間にある卓袱台の真ん中に堂々と鎮座している。
その鍋を囲んでいるのは、霖之助と紅白白黒――ではなく、食卓を囲む顔としてはそれなりに珍しいルーミアだった。

「ああ、いや。何でもないよ。それより鍋はどうだい?」
「うん、美味しいよ。やっぱり霖之助が作るご飯は美味しいな。生も生で血とか脂の食感がいいんだけど、火を通したのも美味しい!」
「……そうかい」

むぐむぐ、と見た目とは不釣り合いなくらい口に肉を詰め込みながら、ルーミアは言う。
彼女の言う『生も悪くない』という感想は、恐らくこれから先も霖之助にはなかなか理解出来ないことだろう。
だが、感想云々はともかく、彼女の無駄な装飾のない賛辞は、素直に受け取っておくべきだろう。
――しかし、こうしている間にも肉がどんどん減っていくのは頂けない。
元々、霖之助が鍋の準備をしていたところに、ルーミアがお腹を空かせてふらふらとやって来たのを見かねて晩餐へと誘ったのだが、このままでは鍋の中身を全て持っていかれてしまう。
鍋の中を調えながら、さり気なく霖之助は肉を手元に寄せつつ、野菜をルーミア側へと送る。
やはり妖怪とは言え、食事のバランスはとらないといけないだろう。
そうだ、これはあくまで親切心でやっていることなので、霖之助が責められる謂れはないはずだ。

「ほら、そう急がなくとも、鍋は逃げはしないさ。今は僕と君の二人しかいないんだから」
「む~? んぐんぐ……」

そう霖之助が注意するものの、ルーミアの食べる速さは少しも緩まない。
幸いなのは、小さい頃の魔理沙と違って、肉も野菜も関係なく食べていくことくらいだろうか。
好き嫌いがないのは、実に結構なことである。ルーミアが人間であれば、の話ではあるが。
――などと観察している間にも、どんどんと鍋の中身は減っていく。
とりあえず、作った本人が殆ど味わえないのでは論外である。
ルーミアを追いかけるように、霖之助も箸を進めた。


 ◇ ◇ ◇


「ご馳走様なのだー」
「お粗末様でした」

すっかり空になってしまった鍋を前に、二人は礼儀正しく手を合わせる。
ルーミアもそのような所作をきちんとするのは少々意外だが、自らの胃袋を満たしてくれる食物に感謝するのは当然かつ感心できる行いだ。
多少驚きこそすれど、わざわざそれを口にする必要はない。
ルーミアの機嫌を損ねても、霖之助に何も得はないからだ。

「……しかし、相変わらず君は食べるのが早いな。そう急ぐ必要もあるまいに」

かちゃり、と空になった茶碗を重ねながら、ぽつりと霖之助は卓袱台に幸せそうな顔をして突っ伏すルーミアに呟いた。
結局、霖之助が鍋を殆ど味わうことがないという最悪の事態は回避出来たものの、食べた量で比較すれば、明らかにルーミアの方が一歩先を歩んでいるだろう。
何度注意してもこれなので半ば諦めてはいるのだが、ゆっくりと愉しもうと鍋を用意していた側としては、少しばかり恨み言も言いたくはなる。
食べ物の恨みというのは、あらゆる恨みよりも恐ろしいのだ。

「ん~? まぁ、いつもじゃないけど、お腹空いてることが多いからね~。寧ろ霖之助の方が遅いんだよ」
「……君の操る闇というのは、実は君の底なしの胃袋にかかっている闇なんじゃないかと思ってきたよ」
「む。失礼しちゃうな~。私のはそんな闇なんかじゃないよ」

ぷくー、と不満そうに頬を膨らませるルーミアは、どう見ても幼子のそれだ。
妖怪相手に年齢を問うのは愚問以外の何者でもないが、癖のある金髪のせいで、かつての魔理沙を彷彿とさせる。
あの子も何か不満なことがあれば、こうしてよく頬を膨らませたものだった。

――僕がついついこの子の面倒を見てしまうのは、そのせいか……?

顔は全く似ていないのだが、と自嘲する。
子供扱いするな、とよく魔理沙には怒られるのだが、やはり霖之助自身にそのつもりがなかっただけなのかもしれない。
――閑話休題。
それよりも今気になるのは、ルーミアの能力の用途についてだ。

「しかし、実際のところ使用用途としてはどうなんだい? 何でも、闇を纏えば君自身もあまり周りが見えなくなるらしいじゃないか。精々、獲物を捕食する時くらいしか使わないと思っていたんだが」
「う~ん……。まぁ、殆どそうかもしれないなー」

少し思い出すように考えて、ルーミアはそう結論付けた。
やはり、能力を行使している自分自身が自由にならないのでは本末転倒なのだろう。
周りが見えずとも問題ない状況と言えば、大分限られてくる。
その可能性の筆頭が、やはり捕食――それも、食事をしている時ということになるのだろう。
相手がもう動かなければ、そして自分もあまり動かなければ、闇の外への視界が殆どなくとも然程問題はないはずだからだ。

「……あ。でも、他にも使い道はあるよ?」

だが、ふと思い出したかのように、ルーミアはぽんと手を叩いた。

「ほぅ? 例えばどんなだい?」
「んふふ~」

興味深そうに返す霖之助とは対照的に、ルーミアはどこか悪戯っぽく笑い。
――次の瞬間には、霖之助の視界全体を、黒い闇が覆った。

「っ! ……ふむ」

一瞬、突然の視界の喪失に驚いた霖之助だが、努めて冷静にぐるり、と辺りを一瞥する。
生まれ故の悲しい性だが、命の危険性を伴う場面への遭遇経験はそれなりにあるので、こういう時の対処も慣れている。
まずは現状の確認だが――なるほど、ものの見事に何も見えない。
まさに一寸先は闇を地で行く光景だ。
目の前にあるはずの卓袱台の縁すらも視認出来ず、少し手を伸ばせばそこにある、という触感でしか存在を確認出来ない。
霖之助からルーミアは見えないが、果たしてルーミアから霖之助は見えているのだろうか。
この闇を纏って飛んでいるルーミアがよく木にぶつかっていることを考えれば、向こうからもこちらが見えていない可能性は高いが、断定は出来ない。
見えていないのならば、一体何をしようとしているのか俄然不透明になっていくのだが。
――しかしいずれにせよ、この能力を使用する用途についての先ほどのやり取りを考えると、あまりのんびりと状況確認ばかりしてもいられない。
気が付いたら噛り付かれていた、などというのは冗談でも御免だ。
機先を制し、ルーミアの出鼻を挫くための布石を敷く必要があるのは自明だった。

「……ルーミア。念のために言っておくが、いくら僕が半分人間だからと言っても、多分美味しくはないと思うよ」
「そんなんじゃないよー」

溜息と共に吐いた言葉に、闇のどこからか声が聞こえてくる。
とりあえず彼女の言葉を信じる限り、霖之助を食べるつもりではないらしい。
その割には、聞こえてきた声が先ほどルーミアが座っていた位置よりも近くから聞こえてきたような気がする。
ひょっとしなくとも、ルーミアは霖之助の近くへと移動しているようだ。

――食べるわけでもないのに、僕に近づく意味があるのだろうか……?

ルーミアが近づいてくる意図はさっぱりだが、あまりいい予感はしない。
一体何をしようとしているのか、その真意を確かめようと霖之助は口を開こうとして。

――ぬらり、とした生温かい口元の感触に、全ての動きが止まった。

「――!?」

ややざらついた、少しだけ粘性のある液体に濡れた物体の感触が、霖之助の口元を這った。
僅かに口内に入ってきたそれは――僅かだが、つい先程まで食べていた鍋の味が、した。

「――」
「えへへー」

呆然とする霖之助だが、存外早く闇は取り払われた。
戻ってきた視界の先には、闇に包まれる前と全く同じ場所にルーミアが座っていた。
――何故か照れたように頬を赤らめているが、それは恐らく……。

「何も見えないから、何されたか分からなかったでしょ? 悪戯にも使えるんだ。使うことあんまりないけど」

はにかむように笑いながら、ルーミアはさも当然のように言う。
確かに、何をされたのかを『見る事は』出来なかったが――。

「何をと言うか……いや、うん、そうだね。分からなかったよ、何をされたのかは、ね」

見る事は出来なかったが、かと言って本当に何をされたのか分からなかったわけではない。
触感は変わらずに感知出来たので、それによって何をされたのかを、霖之助は殆ど推測出来ていた。
加えて、通常なら感じるはずのない、僅かに感じた自身も覚えのある味覚によって、それは確定的になったといってもいい。
――だが、それを言う必要はないのかもしれない。
ルーミアは霖之助が『された事』に気付いていないと思っている。
それなら、それでいいのかもしれない。

――遥か昔、寺院の鐘を盗むために破壊した盗人の逸話を、霖之助は思い出した。
盗人が鐘を破壊した際、当然大きな音が響いたが、盗人はどうすればその音が周りに漏れないようにするかを考えた。
その結果、盗人は己の耳のみを塞ぎ、満足そうに立ち去っていった、という話だ。
無論、今のこの状況と比較して、意味するところはまるで違う。
しかし、気付かぬのは本人のみという点において酷似しているのではないか、と霖之助は思うのだ。
そしてその真実を教えるのは、どちらの場合も簡単なことだ。
けれど、この場合――ルーミアが悪戯だと言うのなら、それに付き合うのも『大人』の仕事なのではないだろうか。
特にこの悪戯により、霖之助に実害があるわけではない。
実害があるのなら叱るのが『大人』の役割だが、そうでないのなら、わざわざ知らなくともいい現実を突きつけるのは少々頂けないことだろう、と。

「……ルーミア」
「ん~?」

だが、一応『あんな事』をした理由は、一度確認しておきたいところだ。
場合によっては、さっきの悪戯以上に注意しなければいけないからだ。
そう、例えば――味見、とか、そういう理由だった場合だ。

「一応、確認しておきたいんだが……もう一度だけ言っておく。僕を食べても美味しくはないよ」
「うん、分かってるー」
「……はぁ。それならいいんだが」

べたー、と両手を広げながら再び卓袱台に突っ伏したルーミアが、若干潰れた声でそう返してきた。
その声があまりにもいつも通りなので、本当に分かっているのか不安になるが、まぁいいだろう。
いつまでその考えが有効かは分からないが、少なくともこの場ではそのつもりではないらしいのだから。

「それじゃあ後片付けするよ。暫くゆっくりしているといい」
「うん、分かったー」

重ねた茶碗を空になった鍋へまとめ、それを持ち上げながら、霖之助はルーミアへと告げる。
彼女が夕飯を香霖堂で食べた後は、暫くゆっくりした後に帰っていくのが、いつものパターンだ。
なら、後はいつものようにすればいい。
とりあえず今は、後片付けが最優先である。
次に行うべき作業を思い浮かべながら、霖之助は立ち上がった。


 ◇ ◇ ◇


「……分かってるよ」

がちゃがちゃ、と食器の音を立てながら流しに立つ霖之助の背中を見ながら、ぽつりとルーミアは呟く。
――確かに半人半妖の味というのは、気になるものではある。
多分、物凄く美味しいか、物凄く不味いかのどちらかだろうとは思う。
しかし、世の中の食べ物というのは美味しいものだけではないのも往々にしてあるものだ。
だから、彼に対しての興味というものは、恐らく尽きることがないだろう。
――けれど、それと引き換えに失うものが少し、大きすぎた。
一時的な満足では到底埋められないものが、ここにはある。

「……だって、霖之助食べたら……こんな明るくて暖かいところが、なくなるんでしょ……?」

闇に覆われていない、明るく暖かい場所。
理由は分からないが、それほど深い知り合いでもないうちから、ルーミアを迎えてくれた場所。
理由は分からないが、この店の店主である霖之助は、今日のようによくご飯を振舞ってくれる。
大抵は一人で過ごしているルーミアに、何だかんだ言いつつも付き合ってくれる場所、店主。
闇を操る妖怪が、闇以外のものに満ちる場所とその主に執着するのは――おかしいことなのだろうか?

「……分かんなくなってきた」

まぁ、いいか。
とりあえず霖之助を食べなければ、この場所はずっとある。
ここがあるなら、自分が来れば霖之助はいつものように受け入れてくれる。
なら、それでいい。
難しく考えるのは、苦手だ。

「それでいいかー」

ぺたー、とうつ伏せになりながら、ルーミアは流しに立つ霖之助の背中を目で追う。
――その顔は実に幸せそうに、微笑んでいた。

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コメントコメント


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に、にゃんだこのくぁわいいるみゃは!!!
危うく悶え死ぬ所だったじゃないか!

子供扱いされるルーミア……でも闇が昔から恐れられてたのなら、多分霖之助さんより年上なんだろうなぁ……

すらっと読めて良かったデスヨ。次回も楽しみに待たせて頂きます。

唯 | URL | 2011/05/09 (Mon) 23:23 [編集]


あるらん、と小首を傾げたのはルーミアだっただと
なんてかわいいんだww
しかしキッスされて味見だと考えるのはいささか女性にしつれいだよな、本当にいつかさされるぞww
しかし、見えないのによくキスできたな、間違えて下の息子にキスしてたかも知れないしね
いつか霖之助が死んだときには死体を食べるのかな・・・いやこのルーミアはそれも出来ずに誰にも渡さないように葬式のときにさらっていって、食べる気だと勘違いしたほかの少女達に退治されてしまいそだな,
そのまま霖之助の後を追うように死んでしまいそう

猟奇王 | URL | 2011/05/11 (Wed) 00:10 [編集]


……ぐはっ(悶)
ルーミアが反則過ぎるぐらいに可愛いっ!

見た目は幼いのに、まさかそこまで積極的になるとは予想外でしたw
暗闇を照らす暖かな光というのは良いですね。

らぷこ | URL | 2011/05/12 (Thu) 20:59 [編集]


 
 

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